ESG/SDGs

CO2を地下に!CCS事業法成立で何が変わる?未来のエネルギーを考える!

地球温暖化が深刻化する中、二酸化炭素(CO2)の排出量削減は喫緊の課題です。
そんな中、注目を集めているのがCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)技術です。

CCSとはCO2を回収し、地中に貯留することで大気中のCO2濃度を減らす技術で、2024年5月にCCS事業法が成立したことにより、日本でもCCS事業化が大きく前進しました。
この仕組みや、国内や世界の取り組みについて解説します。

  1. CCSとは?
  2. CCSのメリットとデメリット
  3. 日本のCCSの取り組み
  4. 世界のCCSの動向
  5. まとめ

1. CCSとは?

CCSは、大気中の二酸化炭素濃度増加を抑えるための技術です。まず、工場や発電所から排出される排ガスから二酸化炭素を分離し、液化して輸送します。
その後、地中深くに存在する多孔質の岩石層に注入し、永続的に貯留します。
この際、二酸化炭素が漏れないよう、地層の特性や貯留状況を長期にわたって監視することが重要です。

2.CCSのメリットとデメリット

注目を集めている方法ですが、メリット・デメリットがあります。

メリット

  • 大気中の二酸化炭素濃度削減: 直接的に大気中の二酸化炭素量を減らすことができる。
  • 既存のインフラ活用: 石油・ガス田の跡地などを貯留場所として利用できる。
  • 産業部門の脱炭素化: セメントや鉄鋼など、CO2排出が避けられない産業での活用が期待できる。

    デメリット

  • 高コスト: 二酸化炭素の分離・回収、輸送、貯留には高額な費用がかかる。
  • 技術的な課題: 大規模なCCSプロジェクトの実績がまだ少ない。
  • 漏洩リスク: 貯留された二酸化炭素が地表に漏れるリスクがある。
  • 社会的な受容性: 地域住民の理解を得ることが重要。

3.日本のCCSの取り組み

日本政府は、2050年カーボンニュートラル実現に向け、CCSを重要な技術と位置付け、さまざまな支援策を講じています。

  • 実証試験: 北海道苫小牧などで、CCSの実証試験が行われています。
  • CCS事業法の制定: CCS事業の安全な運営を確保するための法律が制定されました。
  • 先進的CCS事業の支援: 多様な事業モデルの創出を支援する事業が実施されています。

詳しくは資源エネルギー庁のページで詳細されています。

資源エネルギー庁
CO2を回収して埋める「CCS」、実証試験を経て、いよいよ実現も間近に(前編)
CO2を回収して埋める「CCS」、実証試験を経て、いよいよ実現も間近に(後編)

4.世界のCCSの動向

世界各国でCCSの研究開発や実証試験が進められており、大規模なCCSプロジェクトが稼働しています。

  • 主要国の取り組み: ノルウェー、カナダ、米国など、多くの国でCCSプロジェクトが進められています。
  • 大規模プロジェクト: Sleipnerプロジェクト(ノルウェー)など、大規模なCCSプロジェクトが成功を収めています。
  • 国際協力: IEAやIPCCなど、国際機関がCCSの普及を支援しています。

出典/資源エネルギー庁

世界で稼働中、検討中のCCSは2017年から2023年の6年で7倍にもなっています。
下の図からもわかるように急速な伸びが見て取れます。

出典/資源エネルギー庁

5.まとめ

CCSは、地球温暖化対策に不可欠な技術です。しかし、高コストや技術的な課題など、解決すべき課題も残されています。今後、技術革新や国際協力を通じて、CCSがより普及し、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。

私たち一人ひとりが、地球環境問題に関心を持ち、行動することで、より良い未来を築くことができるでしょう。

参考記事:資源エネルギー庁

Green! Green! Green! 通信 編集室
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